びっくりしたらパンを食べて!メキシコの不思議な習慣
メキシコでは、突然ひどくびっくりするようなことがあったら、パンを食べる習慣があります。胃腸の調子を安定させ、体を正常に戻すのを助けるためと言われています。

画像:メキシコの家庭でよく食べられているパン「ボリージョ」
メキシコのおばあちゃんたちは、「すごくびっくりすることがあったら、ボリージョを食べなさい(*1)」と言います。誰でも聞いたことがあるほど、有名なフレーズです。
家庭や学校、オフィスなどの日常の場面でも、ひどく驚くことがあったら、誰かが必ず「びっくりしたらボリージョを食べて」と言います。まるで食べるだけで失われた平静を取り戻すことができるかのようです。
実際、ひどく驚くような目に遭った人は、周りの人からパンを手渡されて、落ち着きを取り戻すような優しい言葉をかけられることが多いです。
この習慣の由来は?
メキシコ国立自治大学の情報メディアによると、「すごく驚く(Susto)」とは、例えば地震のときのように、危険や恐怖によって体に突然起こる反応です。
科学的に言うと、ひどく驚くことがあると、体の中で筋肉の収縮、心拍の増加、血液中のグルコースの変動、呼吸数の増加、アドレナリンとコルチゾールの増加など、一連の生理学的な反応が即座に生じます。
不意の出来事や恐怖を感じることがあると、体はアドレナリンを分泌し、それによって心拍、血圧、呼吸数が増加します。
また消化器も影響を受け、めまいが起きたり胃がきゅっとなったり、震えが起こったりします。
では、ショック状態からの回復に、なぜボリージョが効くのでしょうか?
なぜボリージョか?
ひどく驚いてショック状態のときにボリージョを食べることは、グルコースの吸収と胃腸の働きを助ける効果があるそうです。そこから、おばあちゃんたちは、ひどくびっくりした後にはすぐに平静を取り戻すために、(どの家庭にもある一般的なパンである)ボリージョを食べることをすすめるようになったということです。
炭水化物であるボリージョを取ることで、胃腸の調子を落ち着かせることができます。消化吸収の良い食べ物を食べると、体は正常だというシグナルを受け取り、ストレスによって動揺した体の機能を安定させることができるそうです。
さらに、大きな驚きの後にものを食べることで、気分を変え平常心を取り戻しやすくなります。
専門家によると、このボリージョいうパンでショック状態が治るわけではありませんが、驚いた人の胃腸を鎮め、元気づける効果はあります。
ただし、その効果は魔法のようなものではなく、心理的・生理学的なものであり、ボリージョが薬のような力を持っているように考えるのは適切ではありません。
また、ひどく驚いてショック状態にある人には、ボリージョだけでなく、感情的に寄り添う姿勢を示してあげることが大切です。もしショックの症状が続くようであれば、医師の診察を受けることをおすすめします。
(*1)この「びっくり」は、スペイン語のSustoで、交通事故を目撃するような、急激な強い驚きをさしています。また、ボリージョはメキシコの家庭で一般的に食べられているパンのことです。皮がかたい、小さいフランスパンのようなパンで、メキシコ市の朝食の定番グアホロータや、具だくさんのトルタ・クバーナにも使われます。
(インフォバエより)