オアハカの宝石!チレ・チルウアクレ


チレ・チルウアクレは、オアハカの郷土料理「モレ・ネグロ」を作るときに欠かせない食材です。オアハカの宝石とも言われるチレ・チルウアクレを使用することで、モレ・ネグロは他の料理では味わうことのできない、特別な料理になります。


チレ・チルウアクレの断面
画像:チレ・チルウアクレ(Chilhuacle negro cut by Inkyape / CC BY-SA 2.0)

チレ・チルウアクレの産地

 チルウアクレとは、ナワトル語で古いトウガラシ、昔のトウガラシを意味しています。原産地はオアハカ州のクアストラで、先スペイン時代から栽培されていました。チレ・チルウアクレの播種と収穫は、メキシコの伝統的な農法で行われ、その種子は文化的遺産として、農民たちによって代々受け継がれ、保存されてきました。

 チレ・チルウアクレの栽培適地は非常に狭く、気候や土の条件も難しいため、メキシコでは希少かつ貴重なトウガラシのひとつとなっています。

チレ・チルウアクレの品種

 チレ・チルウアクレには三つの品種があります。

【チルウアクレ・ネグロ】もっともよく知られた品種で、モレ・ネグロを作るときに使われます。表面はなめらかで、甘みとスモーキーな風味があり、料理に独特の深みと複雑さをもたらします。

【チルウアクレ・ロホ】鮮やかな赤色で、辛みが少し強く、サルサや煮込み料理を作るときに用いられます。

【チルウアクレ・アマリージョ】黄金色で、味はマイルドです。あまり流通していない品種で、モレに入れるトウガラシのひとつとして、収穫地域で使用されます。

モレ・ネグロの魂

オアハカの郷土料理モレ・ネグロ
画像:オアハカの郷土料理モレ・ネグロ

 オアハカの郷土料理モレ・ネグロは、メキシコを代表する料理のひとつです。そして、そのモレ・ネグロを作るときに欠かせない食材が、チレ・チルウアクレです。まず初めに、チレ・チルウアクレをグリルし、水に浸してふやかし、ゴマやアーモンド、バナナ、スパイス類、チョコレートなどと一緒になめらかになるまで挽きます。

 最終的には様々な食材の風味が複雑に絡み合う、黒いとろみのあるソースが出来上がります。食べるときには、このソースを七面鳥や鶏肉の塊肉にたっぷりかけて食べます。作るのはとても大変ですが、チレ・チルウアクレがもたらす唯一無二の風味を味わうためなら、頑張って作る価値があります。

絶滅の危機

 チレ・チルウアクレは、とても高級な食材です。栽培が非常に難しいため、高値で取引されます。特にチルウアクレ・ネグロは、スーパーなどでは1キロ500ペソ(約4,060円)で取引されることもあります。

 その上、近年は地球温暖化が栽培に悪影響を与えていること、栽培農家への支援が欠如していること、在来種の種子が失われつつあることなどから、チレ・チルウアクレは絶滅の危機に瀕しています。そこで、農村の共同体と食の研究家たちが協力して、絶滅を回避し、栽培農家を守る活動が行われています。

 チレ・チルウアクレは、モレ・ネグロの主要な食材であるだけでなく、オアハカの豊かな農業と文化のシンボルでもあります。メキシコ料理におけるチレ・チルウアクレの存在は、在来種の食材を守り、栽培農家の共同体とその仕事の価値を再認識することの大切さを、私たちに思い出させてくれます。

オアハカの宝石チレ・チルウアクレ
画像:チレ・チルウアクレ(Chilhuacle Negro by d_bob / CC BY-SA 2.0)

(メヒコデスコノシードより)

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